登録支援機関が特定技能所属機関から受託した1号特定技能外国人支援計画に基づき支援業務を行わないことは登録取消事由となっています(入管法19条の32第3号)。これには、登録支援機関が、その委託に係る支援業務を第三者に委託すること(いわば丸投げのような状態)も含まれます(ただし、支援の実施に当たって、支援業務の履行を補助する範囲で通訳人を活用することなどは差し支えありません。)。
また、届出義務(入管法19条の27第1項の登録事項変更に関する届出義務、同法19条の29第1項の支援業務の休止又は廃止に係る届出義務及び同法19条の30第2項の支援実施状況(実施状況に加えて、特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号、特定技能所属機関の氏名又は名称及び住所、特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況(労働基準監督署への通報及び公共職業安定所への相談の状況を含む。)、出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生、特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況)に係る届出義務)の不履行も取消事由となっています。なお、随時届出は事由発生日から14日以内に、定期届出は四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内に行う必要があります。
企業別サポート
Support
登録取消等への対応
登録支援機関の登録が取り消される場合
支援計画の不履行や届出の不備
支援している外国人の失踪などのトラブル
登録支援機関の者の責めに帰すべき事由により外国人の失踪を発生させることは登録取消事由となっています(入管法19条の32第1号、同法19条の26第1項14号、入管法施行規則19条の21第1号)。責めに帰すべき事由とは、登録支援機関が1号特定技能外国人支援計画を適正に実施しない場合や技能実習制度の法令違反や基準に適合しない行為が行われていた期間内に、特定技能外国人の行方不明者を発生させたような場合をいい、行方不明者の人数にかかわらず、行方不明者を1人でも発生させていた場合が該当します。また、登録支援機関が、技能実習制度における実習実施者又は監理団体(技能実習法施行前の実習実施機関又は監理団体を含む。)として、雇用又は実習監理した技能実習生について責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させた場合にも、該当します。
不適切な財産管理
特定技能外国人又はその関係者が、特定技能雇用契約に基づく申請人の本邦における活動に関連して、 保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されないことが上陸許可基準とされています。仮に、上陸許可後にこのようなことが行われた場合は、登録支援機関が特定技能所属機関から受託した1号特定技能外国人支援計画に基づき支援業務を行わないことになり得、登録取消事由となります(入管法19条の32第3号)
登録支援機関登録の取り消しによるリスク・罰則
5年間の登録支援機関登録不可
登録支援機関としての登録の取消しを受けた場合、当該取消日から5年を経過しない者(取り消された法人の役員であった者を含む。)は、登録拒否事由に該当し、登録支援機関になることはできません。ここでいう「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含むとされているので、形式的には、登録を取消となった支援機関の取締役ではなかったとしても、実質的に取締役と同等以上の支払力を有する者(例えば、100%株主などが考えられます。)が、別法人を立ち上げて、登録を受けようとしても認められないことになります。
特定技能外国人の在留資格の取り消し
登録支援機関が、特定技能所属機関から委託を受けて支援中に、登録取消になると、特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準を満たすか、新たに登録支援機関との間で全部委託契約を締結しないと、受入機関適合性を満たさないことになってしまいます。この場合、特定技能外国人の在留資格該当性が失われることになります。
当事務所における登録取り消し等への対応
出入国在留管理庁からの指導に対する改善計画提案・推進
出入国在留管理庁長官は、登録支援機関の支援業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、登録支援機関に対し、必要な指導及び助言を行うことができます。また、出入国在留管理庁長官は、支援業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、登録支援機関に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができます。
実地調査、届出情報・情報提供等がきっかけとなって、指導等が行われます。
報告若しくは資料の提出を求められたにもかかわらず、これに応じず、又は、虚偽の報告若しくは資料の提出をしたときは登録取消となる場合があります。
したがって、指導等が行われた場合、速やかにその改善や再発防止策を策定したり、資料を提出する必要があります。
支援業務再開に向けた運営体制整備
出入国在留管理庁から指導・助言を受け、若しくは、報告又は資料の提出を求められることは重大インシデントといえます。
未改善であれば、登録取消となりますし、重大・悪質な法令違反があったり、同種違反を繰り返す場合は登録取消となってしまいます。
そのようなことにならないよう、指導等を受けた場合は、しっかりと発生原因を分析し、登録支援機関の運営体制を抜本的に見直すなど整備が不可欠となります。
トラブル発生時の迅速な対応
改善報告やそれに伴う運営体制の整備は、出入国管理法令、特定技能運用要領等に従う必要があります。したがって、法律専門家である弁護士の指導の下、迅速に対応する必要があります。
登録支援機関運営におけるトラブルは
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