監理団体を運営するうえでは、適法な運営ができているか定期的なチェックを行う役割として、「外部監査人」または「指定外部役員」を設置することが監理団体許可の取得要件となっています。どちらを選択するかについては、運営者側の判断となりますが、弁護士や社労士、税理士等の士業事務所を外部監査人として設置をされている先も多くいらっしゃいます。
企業別サポート
Support
外部監査人
監理団体の外部監査の役割
役割①:第三者としての監理事業のチェック
技能実習制度は、企業(実習実施者)が単独で技能実習生の受入れを行う「企業単独型」と、監理団体が技能実習生をあっせんし、その責任と指導のもとで企業が技能実習生の受入れを行う「団体管理型」の2つの形態があります。現在、多くの企業が団体監理型を利用しています。
実務的には監理団体の役職員が企業の役職員を兼務するケースが多いため、中立的な監査を行うことが難しい場面があります。したがって、外部役員又は外部監査の措置を義務付けて、監理団体の業務の中立性を担保することになっています。
監理団体の監査には、外部役員を置く方法(指定外部役員)と外部監査の措置を講じる方法(外部監査人)があります。いずれも、外部性を担保するため一定の要件が設けられています。
役割②:課題があった場合の指摘・改善方針のすり合わせ
指定外部役員は、監理団体の各事業所について監査等の業務の遂行状況を3ヶ月に1回以上確認し、その結果を記載した書類を作成する必要があります。また、外部監査人は、これと同様の書類を作成して監理団体に提出することに加え、監理団体が行う企業への監査に、各事業所につき1年に1回以上同行して確認し、その結果を記載した書類を作成、監理団体へ提出する必要があります。
監理団体自体、企業に対して、次のような監査等を行う必要があります。
① 定期監査(3ヶ月の1回以上)
② 臨時監査(技能実習計画認定の取消事由に該当すると認めた場合は直ちに)
③ 訪問指導
④ 通報義務
第三者による外部監査として、監理団体がこれらの監査等(上記①~④)を適正に行っているかを確認するため、
(1) 監理費が適正に徴収されているか
(2) 定期監査、臨時監査が適正に行われているか
(3) 認定経過にしたがって実習を行わせているかについての実地確認を行なっているか
(4) 労働関係法令に違反しないよう指導しているか
(5) 所定の管理簿及び書類が作成され、備え付けられていることか
(6) 技能実習生の不当な財産管理をしないよう指導しているか
等を確認します。
外国人技能実習機構による監理団体に対する実地検査により、技能実習が法令等に則って実施されていないと認められた場合、監理団体は改善勧告・改善指導、改善命令・事業停止命令・監理許可取消といった行政処分を受けることになります。そのような事態に陥らないよう、第三者の外部監査(上記(1)~(6)等)を行い、不適切監理を未然に防止し、また、是正を行うことになります。
役割③:適切な監理事業の実施に向けたアドバイス
① コンプライアンスの確保
監理団体が技能実習法やその他関連法令を遵守しているかを確認し、必要な改善点を指摘します。
法律や規制の最新情報を提供し、監理団体が常に最新の法令に基づいた運営を行えるよう支援します。
② 業務プロセスの改善
監理団体の業務フローを分析し、効率的かつ効果的な運営が行われているかを評価します。
無駄や重複を排除し、業務の効率化を図るための具体的なアドバイスを行います。
③ 内部監査のサポート
監理団体が自ら実施する内部監査の支援を行い、監査の質を高めるための助言を提供します。
内部監査の結果に基づき、改善策の立案と実行をサポートします。
関係法令に精通した専門家に外部監査を依頼する必要性
入管法・技能実習法の知見
入管法・技能実習法は極めて複雑な法律です。法律にはその趣旨があり、趣旨を理解せず条文の文字を追っているだけでは、そこで求められていることは理解できません。入管法・技能実習法は、技能実習生の在留資格に直結する法律ですので、これらの法律を正しく理解していくためには、法律の専門家である弁護士の知見が必要になります。
労働関係法令への知見
入管法や技能実習法制度だけでの知識のみでは、適法な運営における知識が足りているとはいえません。技能実習生を雇用する立場である企業にとっては、制度を十分に理解したうえで労働関係法令も考慮して体制を整備することがすることが重要です。労働関係法令は関連法令だけでも相当数があります。例えば、労働基準法、労働契約法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働組合法、労働者派遣法、労働関係調整法、男女雇用機会均等法等があります。また、実務は、これらの法令だけでなく、多くの裁判例に基づいて運用されています。
当然、技能実習生にも労働関係法令及び裁判例は適用されます(入国後講習期間中は除く)。
労働関係法令を正しく理解した上で、企業の監査をしなければ、法令違反を発見できず、技能実習計画の認定取消もあり得ますので、法律の専門家である弁護士の知見が必要になります。
トラブルが起きた場合の迅速な対応
法令違反があった場合、次の展開を予想し、技能実習計画の取消等といった最悪の事態を回避する対応をしていく必要があります。これらの対応を迅速に行うには、通常業務で直接トラブル対応を行っている弁護士の知見が必要になります。
当事務所における外部監査の特徴
現場に沿った対応策の提示
3ヶ月に1回の監理団体の各事業所でのヒアリング、資料の精査を行います。また、1年に1回は、監理団体の各事業所が行う企業に対する監査に同行し、実効性のある監査を行っているか確認します。現場で管理している資料内容についてもチェックをさせていただきますので、実際の管理体制を踏まえて現場の実態に沿って最適な対応策・改善案のご提案に努めます。「ただ法律上の問題のみの洗い出しで終わらせない」それが当事務所の特徴です。
関係法令に精通した専門家によるアドバイス
(1) 法令遵守の確認とアドバイス
最新の法令情報の提供
労働基準法、技能実習法、出入国管理法など、関連法令の最新情報を提供し、監理団体が常に最新の法令に基づいた運営を行えるよう支援します。担当者自身で情報収集を行うなかでも、複数サイトに情報がまたがってしまっていることも多く、ミスなく情報収集をするためには多くの工数がかかります。専門家としてインプットしている最新の法令情報をスピーディーにご共有いたします。
コンプライアンス体制の整備
法令遵守のための内部規程やマニュアルの整備を支援します。担当者の離職等によって、監理事業の運営に大きな負荷がかかってしまうことも少なくありません。内部規程やマニュアルを整備しておくことで、人員体制が変更になってもコンプライアンス体制を維持することができます。
また、法令違反が発生した場合の対応手順を策定することで、有事の場合でも法的リ法的リスクを最小限に抑えることが見込めます。
(2) リスク管理の強化
現状の運営体制に関するリーガルチェック
既に監理団体として業務を実施されていらっしゃる場合の先でも、現在の監理事業や外部監査の内容にご不安がある場合には、リーガルチェックも対応しております。日常の業務に潜む法的リスクを特定したうえで、そのリスクを回避・軽減するための具体的な対策をご提案します。
契約書のチェックと改善
組合員(受け入れ企業)や送り出し機関とのご契約を踏まえて、技能実習に関する各種契約書をチェックし、法的に適正な内容となるようアドバイスいたします。当事務所では契約書のチェック・見直しに関する業務を顧問契約にて多数の対応実績がございますので、契約内容におけるリスクを具体的な事例を踏まえてアドバイスすることができます。
(3) 労務管理の適正化
労働条件の確認・労働時間管理体制の整備
技能実習生の労働条件が労働基準法や技能実習法に適合しているかを確認し、不適切な点を改善するためのアドバイスを行います。また建設業をはじめとして、労働時間の定義が曖昧になってしまったり、労働時間管理の体制が不十分になってしまっていたりすることも少なくありません。
当事務所では、企業との顧問契約を通じて適切な労働時間管理システムの導入支援も行っております。組合員企業で不安な先があれば、お繋ぎいただきアドバイスをすることも可能です。
(4) 監査体制の強化
内部監査の実施支援
外部監査人として必須となる監査業務の対応のみではなく、適法な監理体制を構築するため監理団体が実施する内部監査の計画策定の支援も行っております。顧問契約をご締結いただくことで、外部監査のみでは得られない、より寄り添った監理団体の運営支援(伴走型)が可能になります。
(5) 教育・研修の実施
監理団体のスタッフに対して、法令遵守やコンプライアンスに関する教育・研修を実施します。
法律知識を実務に適用するための具体的な事例を交えた研修を行い、スタッフの法令遵守意識を高めます。顧問契約を締結いただいている監理団体については、定期的なセミナー・社内研修も可能ですので(ただし、通常顧問料とは別費用になります。)、ぜひご活用ください。
顧問契約による継続的なサポート
上記であげさせていただいた通り、外部監査人としての監査業務への対応のみではなく、適法な運営に向けた総合的な支援が必要な場合には、顧問契約のご締結もおすすめしております。顧問契約による継続的なサポートにより、いつでもすぐに相談できる体制を整えて業務を行うことで実現できます。監理団体は規制が厳罰化されている傾向もあり、よりいっそう一層法令遵守の重要度が高まっています。いつでも気軽に相談できるパートナーとしてご活用ください。
監理団体の外部監査業務は
白﨑識隆法律事務所にご相談ください
当事務所では、監理団体への外部監査人への就任について対応をしております。現在外部監査人をつけられている場合の切り替えや、顧問契約による適法な運営に関するアドバイス体制まで幅広いご相談に対応をしております。
監理団体の運営にお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
- ビザ手続きも代行
- 企業法務の知見
- 不法就労
トラブル対応