技能実習制度において監理事業を行おうとする者は、法務大臣の監理許可を受けなければなりません。許可の区分として、1号及び2号監理型技能実習の実習監理を行う特定管理業と、1号~3号監理型技能実習を行う一般監理業があります。
これらの監理業許可を得るためには、申請人が営利を目的としない日本の法人であることが必要です。これに該当する法人は種々ありますが、圧倒的多数は技能実習規則29条3号の定める中小企業団体のうち、事業協同組合(なお、その実習監理を受ける団体監理型実習実施者が当該中小企業団体の組合員又は会員である場合に限ります。)となっています。
したがって、一般的には、事業者が監理事業を行うためには、事業協同組合の設立を目指すことになります。
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監理団体設立
監理団体の設立に向けた流れ
①事業協同組合の設立
②監理許可取得に向けた準備
監理許可が受けるための基準として次のようなものがあります(技能実習法25条1項各号)。
- 非営利法人であること。
- 監理事業を適正に行うに足りる能力を有するものであること。
- 監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有するものであること。
- 個人情報を適正に管理し、団体監理型実習実施者等及び団体監理型技能実習生等の秘密を守るために必要な措置を講じていること。
- 外部役員又は外部監査人を設けていること。
- 外国送出機関との間で取次ぎについての適正な契約を締結していること。
- 一般監理事業の許可申請をする場合は、申請者が優良な監理団体(一定の基準が定められています。)であること。
- 監理事業を適正に遂行することができる能力を有するものであること。
この他、欠格事由(技能実習法26条)に該当しないことも要件となります。
③監理許可申請
監理許可申請は、外国人技能実習支援機構の本部事務所に行います。
所定の申請書、監理事業計画書、申請者の概要書の他、組合員・会員等の一覧表、登記事項証明書、定款又は寄付行為の写し、直近2事業年度の貸借対照表・損益計算書又は計算書・法人税申告書等の写し、預貯金通帳の写しその他多数の資料を添えて申請することになります。
監理団体設立を専門家にご相談いただく理由
事業協同組合の設立要件のチェック
事業協同組合の設立には以下の要件を満たしている必要があります。
- 設立同意者(個人又は法人の事業者)が4人以上であること。
- 設立の手順、定款、事業計画の内容が法令に違反していないこと。
- 事業目的にふさわしい組織であること(地区、組合員資格、設立同意者数、役員の構成、経済的環境などを総合的に審査して判断されます。)。
組合の設立手続は、中小企業等協同組合法に定められているとおりに進めていかなければなりません。これに違反したり、添付書類の一つでも欠落すると設立認可申請が不認可になったり、設立が無効になったりするおそれがあります。
したがって、実際に設立手続を進めるに当たっては、専門家に依頼して設立要件をチェックし、ミスのないように進めていく必要があります。
監理許可申請の取得要件のチェック
例えば、監理事業を適正に行うに足りる能力を有するか否かは、以下の具体的な監理事業を適正に行うことができる体制が整っているかという観点から判断されます。
- 3ヶ月に1回以上の定期検査(設備が労働安全衛生法の基準を満たしているかも確認を要する。)
- 技能実習取消事由が発生した場合の臨時監査
- 1ヶ月に1回以上の訪問指導
- 労働力の需給調整と思わせる勧誘を行わないこと。
- 外国送出機関が技能実習生と違約金徴収の定めなどしていないことを確認し、その旨を監理団体と送出機関の契約で定めること。
- 入国後講習を適正に行うこと。
- 技能実習計画の作成指導を適正に行うこと。
- 技能実習生の帰国費用を負担し、円滑に帰国するようにすること。
- 人権侵害行為、偽造文書等の行使をしないこと。
- 相談体制等を整えていること。
これらを満たしているかどうかをチェックしつつ、申請書及びその裏付けとなる資料を準備していきます。
中央会とのやりとり・申請代行に関する工数削減
事業協同組合の設立においては、申請要件の充足に向けた様々な準備が必要となり、中央会とのやりとりも一定数発生します。新規事業として監理団体事業を展開していくうえでは、事業開始までの準備に多くの工数が発生発生してしまいます。専門家にご相談いただくことで、設立に向けた流れはもちろん実施すべき準備事項も把握しておりますので、社内での対応と比較して効率的に事業開始に向けた準備が可能です。
当事務所における監理団体設立支援の特徴
各種要件充足に向けたアドバイス
監理許可申請に要する時間は、申請受理から最短でも概ね3~4ヶ月を要します。これは申請書類や添付資料に不備がない場合であり、不備がある場合は、さらに時間を要します。
そのため、申請受理される時点までに、丁寧に要件と必要書類のチェックをし、不足等があれば適切なアドバイスをいたします。
こうすることで、確実かつできる限り早く許可を取得することに繋がります。
なお、事業協同組合の設立も含めると全体で概ね12ヶ月要すると見ておくのが無難でしょう。
監理団体設立に向けた申請代行
当事務所は弁護士が運営する法律事務所ですので、申請手続自体を代行(代理)することができます。申請者の方が自分で必要なものを調べて、その結果があっているかを確認するのではなく、当事務所から、申請者の方に何が必要かをご提示してそれを収集していただくことで、確実に申請の準備が整います。
事業開始後の外部監査人・顧問等への就任
このように監理団体設立のためには数多くの要件を満たす必要がありますが、許可を得て、実際に監理事業を行うようになってからが本番です。すなわち、許可要件にもあった監理事業を適正に行うに足りる能力については、定期監査その他を実際に行う必要がありますが、実習の現場では労務が提供されている訳ですから、技能実習法・入管法違反の有無だけではなく、労働法令の違反がないか、社会保険法令の違反がないか等の監査が必要です。これらの監査ができているかについては、法律専門家である弁護士が監理団体の外部監査人や法律顧問に就任することで、その実効性を担保することができますし、監理団体の信用性を高めることになります。
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