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登録支援機関に登録するための要件とは?入管法に精通した弁護士が解説
登録支援機関とは
登録支援機関の役割
特定技能所属機関との契約により委託を受けて1号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(以下「支援業務」という。)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができます(入管法10条の23第1項)。すなわち、登録支援機関は、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務を行います。
他方、登録支援機関は、「登録」しただけでは、技能実習における監理団体と異なり、特定技能外国人労働者のあっせんをすることはできません。あっせんをするためには、別途職業紹介事業の許可等が必要になりますので注意が必要です。
支援業務の内容
登録支援機関が、特定技能所属機関はから支援計画の全部の実施の委託を受けた場合、以下の義務的支援10項目実施の支援をすることになります。
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事前ガイダンス
- 特定技能雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明
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特定技能外国人が出入国する際の送迎
- 入国時に空港等と事業所又は住居への送迎
- 帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
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住居確保・生活に必要な契約支援
- 連帯保証人になる・社宅を提供する等
- 銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助
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生活オリエンテーション
- 円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明
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公的手続等への同行
- 必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
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日本語学習の機会の提供
- 必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
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相談・苦情への対応
- 職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等
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日本人との交流促進
- 自治会等の地域住民との交流の場、地域のお祭りなどの行事の案内や参加の補助等
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転職支援(人員整理等の場合)
- 受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
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定期的な面談・行政機関への通報
- 支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報
支援業務を行う登録支援機関は、登録事項や支援の実施状況等に関する随時・定期での各種届出が義務付けられており、届出の不履行や虚偽の届出については登録の取消しの対象とされていますので注意が必要です。登録支援機関による届出は、大きく分けて随時届出と定期届出があります。
随時届出は事由発生日から14日以内に行う必要があります。これには、登録支援機関の登録事項を変更したときの届出、支援業務を休止したとき又は支援業務を廃止したときの届出、支援業務を再開するときの届出があります。
また、定期に支援の実施状況に係る届出をする必要がありますが、定期とは四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内を意味します。実施状況に加えて、特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号、特定技能所属機関の氏名又は名称及び住所、特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況(労働基準監督署への通報及び公共職業安定所への相談の状況を含む。)、出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生、特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況も届出る必要があり、対応した多数の添付書類が必要となります。
登録支援機関になるための6つの要件
登録支援機関になるためには、登録拒否事由(入管法19条の26)に該当しないことが必要です。その中でも、「支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備」(同条14号)されていることが実質的な登録要件といえ、これを充足している必要があります。概要は以下のとおりです。
- 支援責任者及び1名以上の支援担当者(常勤)を選任していること(兼任も可能)。
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以下のいずれかに該当すること。
- 登録支援機関になろうとする個人または団体が、2年以内に中長期在留者(就労資格に限る)の受入れ実績があること。
- 登録支援機関になろうとする個人または団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること。士業者又は士業法人以外は該当しません。
- 選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格に限る)の生活相談業務に従事した経験を有すること
- 上記のほか、登録支援機関になろうとする個人または団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること(主な考慮要素としては、日本に在留する外国人(在留資格を問わない。)の雇用管理や生活相談を行った実績のほか、支援を適切に行う能力や体制があるといえるような事業実績及び事業の公益性の度合い並びに支援業務に従事する役職員の経験及び保有する資格などの諸事情が挙げられます。)。
- 外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有していること。
- 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていないこと。
- 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと。
- 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し、不正または著しく不当な行為を行っていないこと
登録支援機関登録の申請方法
登録支援機関の登録申請は、地方出入国在留管理局に必要書類を提出して行います。
申請のための必要書類
申請にあたって、以下の書類が必要となります。
- 登録支援機関の登録(更新)申請に係る提出書類一覧・確認表
- 手数料納付書
- 登録支援機関登録申請書
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申請者が法人の場合
- 登記事項証明書
- 定款または寄附行為の写し
- 役員の住民票の写し
- 登録支援機関の役員に関する誓約書
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申請者が個人の場合
- 住民票の写し
- 主たる事務所の住所に係る立証資料
- 登録支援機関概要書
- 登録支援機関誓約書
- 支援責任者の就任承諾書および誓約書
- 支援責任者の履歴書
- 支援担当者の就任承諾書および誓約書
- 支援担当者の履歴書
- 支援委託手数料に係る説明書(予定費用)
- 入管法施行規則第19条の21第3号各号(受入れや経験等の実績要件)を証明する書類
- 返信用封筒
※審査の過程で申請後に資料の追加提出を求められる場合があります。
申請手続きの流れ
登録支援機関の登録を受けようとする者は、前記の登録支援機関登録申請書等必要書類を申請者の住所(本店又は主たる事務所の所在地)を管轄する地方出入国在留管理局に提出しなければなりません。なお、本店又は主たる事務所で支援業務を行うか否かにかかわらず、申請者の住所を管轄する地方出入国在留管理局が申請先となります。
申請は、申請書を郵送又は持参することにより行うことができます。申請は、代理人が行うことも可能ですが、その場合は、委任状等申請人からの委任を受けていることを明らかにする書類の提出が必要です。
登録完了までの期間の目安
登録支援機関の登録申請に係る審査はおおむね2か月を要することから、初回の登録申請は、支援業務開始予定日の2か月前までに、更新申請は、登録の有効期間の満了日の2か月前までに地方出入国在留管理局に行う必要があります。特に更新申請の場合には、登録の有効期間の満了日の間際とならないよう、あらかじめ余裕を持って行う必要があります。
登録拒否事由に該当しないと認められた場合、登録支援機関登録簿に登載され、登録支援機関登録通知書が交付されます。登録の有効期間は5年間です。
登録拒否事由(出入国管理及び難民認定法第19条の26第1項各号)に該当すると認められた場合、登録拒否通知書が交付されます。